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  栽培へのこだわり~作物がいつも健康であるように~
これは私が作物を栽培する上での基本テーマです。健康は状態であれば、光合成が盛んで活発な生育となり、味の良いものになります。また、病気も虫も寄りにくくなり、農薬も減らすことができます。作物が健康な状態を保てるようにどう手助けするか、それをいつも考えています。栽培期間が8ヶ月にもなるトマトなどは実際にはとても難しく試行錯誤の毎日ですが、そのための私なりの取り組みをお話したいと思います。

水と肥料のバランスを大事に:作物が健全な根を晴れるような土の物理性を堆肥などで調えるのがまず前提です。その上で、水と肥料、特にミネラルのバランスをとることが大事だと思っています。人間も健康であるためには栄養のバランスの取れた食事が大事。これは作物だって同じことです.土の中のミネラルのバランスが崩れると作物はミネラルを吸収しにくくなります。質の良い肥料を、バランスをとりながら、過不足なく施すようにしています。

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有機肥料なら安全か?:よしみ農園ではほとんど有機の肥料を使っていますが、有機肥料なら安全というイメージを持っていらっしゃる方も多いかと思います。しかし、単純にそうとは言えません。土にいいからと長年堆肥を施し続け、特定の成分だけが偏って集積して問題になることもありますし、時として作物の健康のためには化成肥料で即効的に効かせた方がいい場合もあります。
有機肥料でも化成肥料でも大事なのは使い方です。土や作物にとって最適な肥料成分のバランスがあります。この最適なバランスを保ちながら足りない分だけ足してあげる、これをいつも心がけています。

 

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土を定期的に土壌分析:では、そのバランスをどうやってとるか。これが実はとっても難しくて、私の技術的な最大のテーマです。作物は、あれが欲しい、こうして欲しいなどとしゃべってはくれません。作物の状態を見て何が足りないか、判断しなければいけません。できるだけ科学的なデータを取るようにしています。
そのひとつが、土壌分析です。専門機関に分析をお願いしますし、自分でも土壌分析器を持っていて、施肥前はもちろん、生育中も定期的に肥料成分を測定しています。その上で、バランスを取りながら必要な分だけ与えるようにしています。それが土と作物の健康につながると思います。

 

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樹液も定期的に分析して健康状態を診断:作物が、何をどれくらい必要としているのかは、土を測っただけではわかりません。その時々の作物の状態をリアルに知るために、定期的に樹液を採取して、PH、糖度、硝酸濃度、カリ濃度を計測して診断しています。それをもとに、潅水や追肥の量・タイミングを決めて施しています。栽培上最も大切にしていることは「作物の健康を保つ」こと。そのためには、見た目の観察と科学的なデータの両方で見ていくことが大事と思っています。
 

  トマトへのこだわり 生産者の少ない希少な品種 ルネッサンスを使用しています。~

甘味だけでなく、酸味・旨みともに強く濃い味

ルネッサンスの大きな特徴は単位結果性で、ハチやホルモン処理がいらないことですが、私が導入している理由はそれよりむしろその際立った食味です。
 

酸味がかなり強く、それだけでなく甘みと旨みもしっかりあり、全体に味が濃くてパンチの効いた、インパクトの強い味。また、皮がとても薄くて口に残らない、果肉部が多くて調理にも向くなど、食味の点で他の品種にはない強い特徴を持っています。
 

酸味が強いので、さっぱりしたい夏の暑い季節に向いています。また生食だけでなく、熱を加えると旨みがグッと出るので、パスタや煮込み料理などは、他の品種では味わえない格別の味です。今までにたくさんの品種を試験も含めて栽培してきましたが、ルネッサンス以上に私の好みにあった品種はありません。

 

加えて、ルネッサンスはとっても美人。先が少しとがりがあって腰高で、他の品種とは違う美しい果形をしているのも特徴で、お客さんによく「きれいね~」と言われます。  

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裂果が多く、病気にも弱いので管理に気を使います

皮がとても薄いので、裂果や軟化玉が生じやすく、栽培管理や収穫・出荷時にはとても気を使います。皮を強くするためにカルシウムなどのミネラルの肥効が高まるように施肥設計し、追肥や葉面散布でも補います。それでも真夏は強い日差しで皮が劣化し、気温が高くてカルシウムが玉に転流しずらいので、割れや軟化が頻発することがあり、ハウスに遮光ネットを導入しています。

 

収穫時はコンテナの中で転がるのは厳禁。出荷も玉同士が接触しないように専用のトレイに入れて出荷。販売店には、袋に入れると傷みやすいのでバラ売りかトレイに入れての販売をお願いしています。

 

それだけ気を使って、思いを込めて管理をしているので、出荷時は我が子を嫁に出すような気持ちです。「吉見さんのトマトを食べたら他のトマトは食べられない」「今までトマトは嫌いだったけど、吉見さんのトマトなら食べられる」といった声が少なからずあるのが、何よりの励みになります。

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